飽和

情熱が飽和しないようにすることを忘れてしまったのか、情熱を情熱的に放出できなくなってしまっていて、もしかしたらあの情熱はウソだったんじゃないかと思っていて、とんちんかんなことばっかりが頭の中をぐるぐる回って、仕舞いには体中に充満し始めたりして。外に出しすぎて飽和した情熱はもちろん熱いものだったから、周りの温度が上がれば上がるほど溶けるどころか結露を始めてどんどん溜まっていく、その頃の情熱と言ったら乱暴なくらいの量だったから結露した情熱は溺れてしまうくらいで、しかも自分からしたら熱いもんだからまさに地獄の苦しみ。逃げ出すための部屋を急いで用意して、その頃の自分に背を向けて気持ちのいい音楽で耳を塞いで、めがねを架け替える。気付けば吐き出したい情熱はほとんど残ってなくて、逃げ出してきた現実を振り返る。吐き出せるウソよりも、吐き出したい情熱のほうがやっぱり好きだから、自分の温度を上げて結露して溜まったそれをもう一度自分の中に戻しに行こうかと思う。時間はこういうところで使うもんだと今は思えるから、きれいに平らげてやろう。