夏の終わる瞬間を見た気がした。

何日前だったか、それは忘れてしまったけれど
22時過ぎ、23時少し手前
慣れない地下鉄の出口から出た僕は
家の方向と思われる方向に歩いていた
アスファルトに溜め込まれた熱は
暗くなってもまだ吐き出しきれてなくて
夏はまだまだ終わらない、そんな感じだったけど
僕の真上より少し先のほうで一匹のセミが鳴き止んだ
と、同時に足元に落ちてきたのは声の主
夏は、予感も与えてくれずに過ぎていく
気付けば秋になってて、それは死という形でセミには訪れる。